道具・資材

プランターのサイズの選び方|cmではなく「入る土の量」で決める

公開 2026.08.20菜園びより 編集部

プランターのサイズは外寸のcmではなく、実際に土が何リットル入るかで選ぶのが正解です。

外寸をかけ算した体積の半分ほどしか、土は入りません。大和プラスチックの公表値では、外径60×23.5×18.5cm(かけ算すると26.1L)のプランターの容量は14Lです。必要な土の量は野菜で決まり、サカタのタネの園芸情報サイトの連載はトマトやナスに「土の量が15〜20Lは必要」としています。65cm標準型に入る土は本記事の推計で12〜15L程度。これを1株あたりの量と読めば、果菜なら1株が限界という計算です。この記事では、売り場の表示から土の量を見抜く方法と、容量が決まれば肥料の量と重さまで決まることをまとめます。

まず結論|プランターは「何cm」ではなく「何L入るか」で選ぶ

ポイント

プランター選びの解説は、調べた範囲ではほとんどが「野菜別の深さ何cm」で終わります。ところが売り場に並んでいるのは「600型」「65cm」という外寸の表示で、その数字からは土が何リットル入るか分かりません。先に必要なリットル数を決めてから、カタログの容量表示を見に行く——順番はこれです。

「トマトは深さ30cm以上」「葉物は15cmでいい」。プランターの選び方を調べると、この形の表が、調べたどのサイトにも載っていました。間違ってはいません。ただ、この表を持ってホームセンターに行くと手が止まります。棚にあるのは「フレグラープランター60型」「菜園上手 深50型」といった型番と外寸で、深さが書いてあっても、それが土の深さなのか容器の高さなのかは分からないからです。

実際、容器の高さと土の深さは同じではありません。上のほうには水をためる空間(ウォータースペース)が要りますし、底には水抜きのスノコがあります。同じように、外寸をかけ算した体積と、入る土の量もまったく違います。この記事はそこを埋めるために書きました。まず結論を表にします。

表1|結論早見表(1株あたりに必要な土の量と、選ぶべきプランター)
育てるもの必要な土の量選ぶときの深さ(カタログ表示)具体的な選び方
トマト・ナス・きゅうりなど株が大きい果菜1株15〜20L(サカタのタネ 園芸通信の連載/※1株は本記事の解釈)30cm(リッチェル)容量20L以上と書かれた深型を選び、1株だけ植える
ピーマン・シシトウなど中型の果菜果菜に準じる30cm(リッチェル)同上。株が小さめなので20Lで無理がない
コマツナ・ホウレンソウ・カブなどの葉菜・小さい根もの少なくてよい(浅型で足りる)15cm以上(タキイネット通販)65cm標準型(土12〜15L)に条まきで数株。深い鉢はむしろ不利
ミズナ・リーフレタス・ラディッシュ少なくてよい15〜20cm(本記事の目安)標準型で足りる。株間を優先する
ブロッコリー・キャベツ・ハクサイ・ニンジン—(深さが先に効く)30cm以上(タキイネット通販)「大型深底」と書かれたもの。長さ60×幅20×深さ30cm以上
ミニ大根・ジャガイモなどの根もの—(深さが先に効く)40cm(リッチェル)深型・ジャンボ型。タキイのダイコン栽培マニュアル(畑向け)は「十分な耕土(50cm以上)」を前提としており、プランターではミニ品種が確実です

表の右端が具体的なのには理由があります。「大きめを選べばいい」という定番のアドバイスは、果菜には当てはまりますが、葉菜には当てはまりません。種苗メーカーの解説と、園芸情報サイトに載った専門家の連載とで、力点が分かれています。あとの章(「大きめを選ぶ」は半分しか正しい)で両方の原文を引きます。

外寸をかけ算しても、その半分ほどしか土は入らない

ポイント

「60cm×23cm×18cmだから26L入る」——この計算は成り立ちません。メーカーの公表値で確かめると、実際の容量は外寸のかけ算のおよそ半分(5割弱〜7割弱)です。ここを知らないと、必要な土の量を倍近く見誤ります。

都合のいいことに、大和プラスチックとリッチェルは外寸と容量の両方を公表しています。片方だけなら憶測になりますが、両方あるので割り算するだけで検証できます。大和プラスチックとリッチェルの製品仕様から拾ったのが次の表です。

表2|外寸のかけ算とカタログ容量の差(いずれもメーカー公表値)
製品メーカー公表のサイズ(外寸)かけ算した体積公表されている容量割合
大和プラスチック フレグラープランター30型30×13×12cm4.7L2.5L約53%
同 40型40×15×14cm8.4L4.0L約48%
同 50型50×20×17.5cm17.5L9.0L約51%
同 60型60×23.5×18.5cm26.1L14.0L約54%
大和プラスチック eco菜園プランター 深55型55×30×32cm52.8L25.0L約47%
リッチェル 菜園上手 63型N62.5×29×32cm58.0L32.0L(土容量)約55%
リッチェル 菜園上手 ジャンボ65型65.5×39×42.5cm108.6L72.0L(土容量)約66%

どれも外寸のかけ算の半分前後で、いちばん高いジャンボ65型でも66%です。大は小を兼ねると思って60型(14L)を買い、25L入りの培養土を1袋用意すると、10L以上が余ります。外寸から容量を見積もると、こういうことが起きます。

なぜ半分になるのか|内寸まで公表している製品で検算する

大和プラスチックは内寸まで公表しているので、理由まで確かめられます。フレグラープランター30型は、外径サイズが30×13×12cmなのに対し、内寸は上部29.5×12.3cm・下部26.3×9.1cm・スノコからの高さ8.7cmです。

  1. 1上と下で断面積が違う(テーパー)。上部は29.5×12.3=約363cm²ですが、下部は26.3×9.1=約239cm²しかありません。逆さの台形なので、下にいくほど細くなります。
  2. 2底のスノコより下は土が入らない。外寸の高さは12cmですが、土が乗るスノコからの高さは8.7cm。3.3cmが下部構造で埋まっています。
  3. 3壁に厚みがある。外径30cmに対し内寸上部は29.5cmで、これは各面の厚みぶんです。

この3つを踏まえて計算し直すと、上部と下部の断面積を平均した台形柱として (363+239)÷2 × 8.7 = 約2,620cm³ = 約2.6L。公表容量2.5Lとほぼ一致します。外寸の4.7Lと公表の2.5Lの差は、この形の分だったというわけです。

商品名や外寸のcmから「これくらい入るだろう」と土の量を見積もる

パッケージやメーカーサイトの「容量」「土容量」の表示を見る。表示がない製品は、外寸のかけ算の半分を出発点にする

必要な土の量は野菜で決まる|果菜は1株15〜20L

ポイント

リットルで選ぶと決めたら、次は「何リットル要るのか」です。サカタのタネの園芸情報サイトの連載は、株の大きくなる果菜に土の量15〜20Lを挙げています(本記事はこれを1株あたりと読んでいます)。65cm標準型は土が12〜15Lしか入らないので、この時点でミニトマトは1株が上限だと分かります。

サカタのタネの園芸情報サイトに掲載されている連載では、必要な土の量がリットルで書かれています。原文はこうです。

ここで注目したいのは、葉菜については「やや土の容量が少ないプランターを用意します」と書かれていることです。「大きくても構わない」ではなく「少ないものを用意する」。理由は次の章で見ますが、まずこの数字を、実際に売られているプランターに当てはめます。

表3|土の量から見た「何を何株植えられるか」
プランターの容量該当する製品の例果菜(15〜20L基準)葉菜・小さい根もの
5L前後浅型の小型・30cm前後の鉢不可コマツナ・ラディッシュを数株
12〜15L(※本記事の推計)65cm標準型(幅65×奥行22×高さ20cm前後)ミニトマト1株が限界。2株だと1株6〜7L葉物には扱いやすい容量。条まきで1列
20L前後深型プランター/φ36cmの丸型(リッチェル菜園上手 丸36型=土容量20L)トマト・ナス1株に適正深すぎて葉菜には向かない
25〜32Leco菜園プランター深55型・菜園上手63型N果菜1株に余裕。2株にすると1株あたり12.5〜16Lまで下がるブロッコリー・キャベツなど大きく育つ葉もの
38〜72L菜園上手 深50型・ジャンボ65型果菜2〜3株(38Lなら2株まで。3株だと1株12.7Lで基準割れ)ミニ大根・ジャガイモなど深い根もの

情報源によって「1株あたり」の数字が倍近く違う

正直に書いておきます。この数字は情報源によって一致していません。サカタのタネの園芸情報サイトの連載は果菜に15〜20Lとしていますが、タキイネット通販が販売している菜園用の深型プランター(土容量22L)は、植え付けの目安を「果菜苗2株」としています。1株あたり11L——連載の目安のほぼ半分です。

表4|果菜1株あたりの土の量(見解が分かれている)
情報源1株あたり(本記事の読み方)条件この記事での扱い
サカタのタネ 園芸通信の連載(外部筆者)15〜20L通常のプランター。底面給水の指定なし余裕のある側の基準として採用
タキイネット通販(製品の植え付け目安)約11L(22Lに2株)底面給水タイプ(貯水5.2L)・元肥入りの専用培土とのセット水と肥料が安定する条件つきの数字と解釈

「大きめを選ぶ」は半分しか正しい

ポイント

プランター選びの記事の多くは「大は小を兼ねる」「やや大きめを」と書きます。ところがサカタのタネ 園芸通信に載っている連載は、大きすぎることのリスクをはっきり書いています。しかも条件つきで——果菜類を除いて、と。ここが果菜と葉菜で答えが逆になる理由です。

まず、両方の原文を並べます。発信主体の性格は同じではありません。片方はタキイネット通販自身の解説ページ、もう片方はサカタのタネの園芸情報サイトに掲載された外部筆者((株)ハイポネックスジャパン 吉田健一氏)の連載です。とはいえどちらも実務にもとづく記述で、片方が思いつきというわけではありません。

並べると、実は矛盾していないことが分かります。タキイの「やや大きめ」は、小さすぎることへの注意と読むのが自然で、青天井に大きくしろとは書いていません。一方サカタの連載は、上限があることと、その理由(乾かない・根が底まで張らない・停滞水)を説明しています。両方を満たす形にすると次のようになります。

表5|果菜と葉菜で、サイズの選び方は逆になる
果菜(トマト・ナス・きゅうり)葉菜(コマツナ・ホウレンソウ・ミズナ)
必要な土の量多い(1株15〜20L)少なくてよい
深さ(カタログ表示)30cm以上15cm以上あれば足りる
大きくしすぎたときのリスク小さい(株が大きいので土は乾く)大きい(根が底まで届かず、停滞水で根腐れ)
選び方の結論迷ったら大きいほう(乾きにくさが不利になりにくい)必要な分だけ。深型は避ける
1つの容器に植える株数1株が基本条まきで複数株

「葉物なのに深型プランターを買ってしまった」ときは、土を浅く入れて使うより、深さを必要とする野菜(ミニ大根・ブロッコリーなど)に回すほうが活きます。深い容器に土を浅く入れると、壁が高いぶん土の表面に風が当たらず日も入りにくくなり、乾きが遅れます。連載が指摘する「深い鉢に植えると根が十分に底部まで張り切らずに、停滞水がたまりやすく根腐れの原因になります」は鉢を土で満たした場合の話ですが、乾きにくさという結果は浅く入れた場合も共通します。加えて、買った容積がそのまま無駄になります。

「大は小を兼ねる」で、とりあえず大きいプランターに葉物を植える

葉物は必要な分だけの浅型。サカタのタネ 園芸通信の連載は「株が大きくなる果菜類を除いて、あまり大きな鉢は選ばないようにします」としている

65cm標準型(土12〜15L)にミニトマトを2〜3株植える

果菜は1容器1株。15〜20L必要な野菜を12Lで2株分けると、1株あたり6Lしかない

深型を買ったので、土を半分だけ入れて葉物を育てる

深型は深さの要る野菜に回す。壁が高いぶん土の表面が乾きにくく、買った容積も無駄になる

なお、株を詰めて植えることの弊害は土の量だけではありません。同じ連載には「プランターに何株か植えて栽培すると、成長が進むにつれて株同士が触れ合い通気性が悪くなり徒長しやすくなります」ともあります。風通しが落ちれば病害虫も出やすくなるので、症状から探すページで見かける不調の何割かは、ここが出発点です。

カタログの容量から、さらに引かれる3つ

ポイント

「容量14L」と書いてあっても、根が使える土が14Lあるわけではありません。ウォータースペースと鉢底石が引かれます。カタログに「深さ30cm」とある深型なら、実際に土が入るのは鉢底石を5cm入れて17〜19cm、入れなければ22〜24cmです。

ここも推測ではなく、先ほどの連載に数字があります。ウォータースペース(水やりのときに水をためる、土の表面から縁までの空間)については次のとおりです。

ここに前章の「カタログの深さ − 3cm」を重ねます。カタログ表示が30cmの深型なら、内側は27cm前後。そこから上のウォータースペースで3〜5cm、下の鉢底石で5cmが引かれ、残るのは17〜19cm。カタログの数字の4割近くが消えます。鉢底石を入れなければ22〜24cm(2割強減)で済みます。この差は大きいので、鉢底石を入れるかどうかは土の量を決める前に判断してください。

表6|プランターの深さ別・実際に土が入る深さ
カタログ表示の深さ内側の深さ(−3cm)ウォータースペース土が入る深さ(石なし)土が入る深さ(石あり)
18cm(浅型)15cm2〜3cm12〜13cm通常は入れない
20cm(65cm標準型)17cm2〜3cm14〜15cm通常は入れない
25cm22cm3〜4cm18〜19cm13〜16cm(石3〜5cm)
30cm(深型)27cm3〜5cm(連載)22〜24cm17〜19cm(石5cm・連載)
40cm(根もの用)37cm4〜5cm32〜33cm27〜28cm(石5cm)

もうひとつ、細かい話ですが苗の根鉢があります。苗をポットから出すと、9cmポットなら直径9cm・高さ8cm前後の土の塊が付いてきます。その分だけ、あとから入れる培養土は少なくて済みます。買う袋の量を決めるときは、大きな影響はありませんが、プランターの縁ぴったりまで土を入れてしまう原因になるので気に留めておいてください。

鉢底石を入れるかどうかは、まだ決着していない

上の引用のとおり、この連載は鉢底石を「不可欠です」としています。ところがこの論点は世界的に見解が割れています。米ワシントン州立大学の普及資料は排水改善効果を否定する側、2025年の実測研究は用土によっては効果があるとする側です。鉢底石はいらない?プランターでの要不要で両論を整理していますので、判断はそちらを読んでから決めてください。

サイズ選びの観点だけで言えば、話は単純です。入れるなら土がその分減る、それだけです。深さ30cmの深型に5cm入れれば土は約2割減り、肥料の計算もやり直しになります。逆に、底面給水タイプでは製品の指示に従ってください。たとえばタキイネット通販の製品ページには「底面給水を使用する場合は、鉢底石は入れないでください」と明記されています。毛細管現象で水を吸い上げる構造が、石の層で切れてしまうためです。

深さが決めるものと、容量が決めるものは違う

ポイント

「深さ」と「容量」は、混ぜて語られがちですが役割が別です。深さは「その野菜が育つかどうか」を決め、容量は「水と肥料がどれだけ安定するか」を決めます。どちらか片方だけでは選べません。

ダイコンを深さ18cmのプランターで育てられないのは、容量の問題ではなく物理的な長さの問題です。一方、ミニトマトが真夏に毎日しおれやすいのは、深さより土の量が効いています。同じ「サイズ」という言葉で、別のことを決めているわけです。

表7|深さと容量は別のことを決めている
深さ(cm)容量(L)
決まること育てられる野菜の種類(根が入るか)水切れと肥料切れの起きにくさ
足りないと起きること根が曲がる・太らない・途中で止まる毎日水やりが要る・肥料が早く切れる・株が小さいまま
基準になる一次情報タキイネット通販:ブロッコリー・キャベツ・ハクサイ・ニンジンは30cm以上/カブ・ホウレンソウ・コマツナは15cm以上。リッチェル:実もの30cm・根もの40cm(果菜の30cmはリッチェル側の数値サカタのタネ 園芸通信の連載:果菜は土の量15〜20L(※「1株あたり」と読むのは本記事の解釈)
確認する場所商品の深さ表示(土が入る深さは、鉢底石を入れるなら3〜5割、入れないなら2〜3割引く。表6)パッケージの「容量」「土容量」の表示

深さについては、リッチェルが菜園上手シリーズの説明で用途別の基準を出しています。「ナスやトマトなどの実もの野菜には深さ30cm、じゃがいも・大根などの根もの野菜には深さ40cm」。この30cm・40cmが、容器のカタログ寸法なのか、土が入る深さなのかは明記されていません。同社の製品は63型Nが高さ32cm、深50型が42.5cmという構成なので、どちらの読み方をしても「カタログ32〜43cm級を選ぶ」という結論は変わりません。本記事はそのように扱っています。なお「根もの40cm」は、確認した範囲ではリッチェルだけが示している数字です。タキイの大型深底(深さ30cm以上)にはニンジンが入っており、根ものでも品目によって必要な深さは違います。根の深さは品目と品種で決まるので、種袋やラベルの表示を優先してください。

深さは、支柱を挿せる深さも決めてしまう

見落とされやすいのですが、プランターの深さは支柱の安定にも直結します。土が入る深さが15cmしかなければ、支柱を挿せるのもそこまでです。畑の解説に出てくる差し込み深さ20〜30cmという数字は、65cm標準型のような一般的なプランターでは実行できません(表6のとおり土が入るのは14〜15cmです)。65cmプランターに180cmの支柱を12cm挿した場合、地上に出ている長さは挿さっている長さの約14倍になります(この12cmは支柱の記事の前提=カタログ深さ18cmでの値です。本記事の20cm前提だと挿せるのは10〜13cmで、比は13〜17倍とむしろ大きくなります)。この比が大きいほど、風を受けたときに株ではなく容器ごと浮きやすくなります。深さ別の計算は支柱の選び方に出しているので、果菜を育てる予定なら先に読んでおくと、プランターの深さを決める材料になります。

つまり、果菜で深型を勧める理由は「根のため」だけではありません。支柱が挿さる深さを確保するためでもあります。ここまでを踏まえると、トマトを65cm標準型(土が入るのは15cm前後)で育てるのがなぜ難しいのか、理由が2つ重なっていることが分かります。

容量が決まると、肥料の量と水やりの回数も自動的に決まる

ポイント

リットルで選ぶ利点はここにあります。プランターの肥料は「1鉢に何g」ではなく「培養土10Lあたり何g」で決まります。容量が決まった時点で、元肥の量も追肥の量も計算できてしまいます。

タキイ種苗は、容器栽培の元肥の目安を培養土10リットルに対して有機配合肥料 N:P:K=6:9:6 で30g程度としています(原文は「こえ太くん」という製品を例に挙げています)。ここでいう10Lは「実際に入れた培養土の量」で、カタログの容量表示ではありません。家庭でよく使う化成肥料8-8-8に窒素量をそろえて換算すると、培養土10Lあたり22.5g(表8はこの値で計算しています)。この換算の過程は化成肥料8-8-8の使い方で開示しています。

表8|容量が決まれば元肥の量も決まる(8-8-8への換算値)
**実際に入れた**培養土の量元肥(8-8-8換算)追肥1回(8-8-8換算)該当するプランター
5L約11g8〜11gカタログ6〜7L級の浅型
10〜12L約23〜27g15〜27g65cm標準型(カタログ12〜15L・※本記事の推計)
18L約40g27〜40gカタログ22L級の深型(深型600クラス)
20L約45g30〜45g土容量20L」表示の丸型(表示をそのまま使える)
30L約68g45〜68g土容量32L」表示の大型

水やりの回数も容量で変わります。タキイ種苗は容器栽培についてこう書いています。「畑などでの地植え栽培とは異なり、袋栽培では袋の容積が限られていますので、水やりの回数が多くなります。その結果、肥料分が流れ出して早く失われることになりますので、栽培期間の長い種類では、肥料切れを防ぐために追肥が必要です」。

容量を大きくすることは、水やりの回数を減らし、肥料の流亡を減らすことでもあります。果菜で「迷ったら大きいほう」と言えるのは、根のスペースだけでなくこの理由が効いているからです。逆に葉菜のように栽培期間が短く株が小さいものは、その恩恵が小さく、乾きにくさのデメリットのほうが上回ります。

なお、小さめのプランターを選ぶこと自体は、選択肢としてあり得ます。この連載には「あまりおすすめはできませんが、ベランダなどの狭い場所で栽培する場合は、株をやや小さく育てる方法として、ややプランターを小さくし株を小さく育てる方法があります。この場合、土が乾きやすく肥料成分の流亡が起きやすいためこまめな管理は必要ですが、一度試していただいてもよいと思います」とあります。手間と引き換えに置き場所を取らない、という取引だと理解しておけば選べます。

大きくするほど重くなる|培養土は1Lあたり400〜600g

ポイント

容量を上げるときの代償が重さです。タキイ種苗は、生育に適した土の重さを1リットルあたり400〜600g(比重0.4〜0.6)としています。深型20Lなら8〜12kg。ベランダでは置ける場所が限られます。

プランターのサイズを比較する記事で、重さまで書いているものは調べた範囲では見当たりませんでした。しかしベランダ菜園では、動かせるかどうかが管理のしやすさを直接左右します。日当たりを求めて置き場所を変える、台風の前に取り込む、といった作業がすべて重さに縛られるからです。

表9|容量別の土の重さ(比重0.4〜0.6で計算)
**実際に入れた**培養土の量土の重さ実感扱いやすさ
5L2.0〜3.0kg片手で持てる自由に動かせる
10〜12L(65cm標準型)4.0〜7.2kg米5kg袋1〜1.5つ分両手なら移動できる
20L(深型)8.0〜12.0kg米10kg袋くらい移動はできるが毎回はつらい
30L12.0〜18.0kg水を張ったバケツ2つ分ほぼ動かせない
70L28.0〜42.0kg小学生1人分設置したら動かさない前提

「軽い土」を選ぶことにも代償がある

重さを避けるために、ココヤシガラを主体にした軽量タイプの培養土を選ぶ人もいます。プロトリーフの「花野菜用かる〜い培養土」は公式の製品情報で25Lが6.2kg(14Lで3.5kg、40Lで11.0kg)と表示されており、割り算すると1Lあたり0.25〜0.28kgタキイが適正とする0.4〜0.6を下回ります。有効な手ではありますが、タキイ種苗は同じ文で軽すぎる側のリスクも書いています。「特殊な例を除き、一般に植物の生育に適した土の重さは1リットルあたり400〜600g(比重0.4〜0.6)です。重すぎると通気性が悪く根腐れの原因になり、軽すぎると植え付け後の株が不安定で、根の活着が悪くなります」。

タキイが書いているのは定植直後の活着の話ですが、背が高くなる果菜では生育後の安定にも効いてきそうです(ここは本記事の推測です)。支柱や容器の固定でカバーできる範囲ではありますが、「軽ければ軽いほどよい」ではないことは押さえておいてください。なお、タキイは培養土のパッケージで適用植物名・内容量・主な配合原料名・肥料配合の有無・pH・EC・製造業者の表示を確認するよう勧めています。土選びで迷ったら、まずこの表示を見るのが確実です。

買う前の3ステップ|この順番で決めれば外さない

ポイント

ここまでを手順にまとめます。野菜 → 必要なL → カタログの容量表示 → 引き算の順です。売り場で外寸のcmから考え始めると、この記事の最初に書いた半分の罠にはまります。まず、売り場でよく見る表示と実際の土の量を一覧にしておきます。

表10|売り場でよく見る表示と、カタログ上の容量(原則メーカー公表値)
売り場の表示カタログ容量向いているもの
フレグラープランター60型14L葉物を1列。深さ18.5cmなので果菜には浅い
65cm標準型(600型・650型など)12〜15L(※本記事の推計)葉物。ミニトマトなら1株が限界
eco菜園プランター 丸38型18L果菜1株(深さ28.5cmでやや浅め)
菜園上手 丸36型20L果菜1株に適正
楽々菜園 深型600(底面給水)土22L+貯水5.2L果菜。メーカーの目安は苗2株
eco菜園プランター 深55型25L果菜1株に余裕。大きく育つ葉もの
菜園上手 63型N32L果菜2株も可
菜園上手 深50型38L深い根もの
菜園上手 ジャンボ65型72Lミニ大根・ジャガイモ

手順にすると次のとおりです。

  1. 1育てる野菜を先に決める。果菜なら1株15〜20L、葉菜なら浅型で足りる、深い根ものなら深さ40cm。表1で確認します。プランターから決めると、育てられる野菜が容器に縛られます。
  2. 2カタログの「容量」「土容量」の表示を探す。外寸のcmではありません。表示が見つからない製品は、外寸のかけ算の半分を出発点にします(表2)。
  3. 3引き算する。ウォータースペースで上から2〜5cm、鉢底石を入れるなら下から3〜5cm。カタログ深さ30cmなら、内側27cm・土が入るのは17〜19cm(鉢底石あり)です(表6)。この引き算は「培養土を何L買うか」「鉢底石を入れるか」を決めるためのもので、必要な深さの判定には使いません。深さが足りるかどうかは、表1・表5のカタログ表示の数字で判断してください。
  4. 4培養土の袋の量を決めて、入れた量を数える。65cm標準型(カタログ12〜15L)なら25L袋1つで足りますが、10L前後は余ります。この「実際に入れた量」が、次の肥料計算の基準になります。余りは別の鉢に使うか、翌シーズンの土の入れ替えに回せます。
  5. 5肥料の量を計算する。培養土10Lあたり8-8-8で22.5g(表8)。元肥入りの培養土なら足しません。

セール品や見た目でプランターを選び、あとから育てる野菜を考える

野菜 → 必要なリットル数 → 製品の順。容器から決めると、育てられるものが最初に決まってしまう

「深さ30cm」と書かれた製品を買って、そのまま30cm分の土が入ると考える

内側で3cm、上下でさらに8〜10cm引く。カタログ深さ30cmで実際に土が入るのは17〜19cm(鉢底石を入れる場合)

培養土を「プランターの大きさに合わせて」なんとなく買う

容量表示のリットル数=買う袋のリットル数。足りないより余るほうが扱いやすい

最後に、置き方についてもひとつ。この連載は「プランター栽培で大切なことは、鉢の底部に肥料や水が停滞することを防ぐことです」とし、レンガなどをプランターの下に敷いて、コンクリートや土の上に直接置かないよう勧めています。サイズを正しく選んでも、床にべた置きすると底の排水が止まります。数センチ浮かせるだけなので、買い物のついでに何か置くものを一緒に見ておくと確実です。ベランダの条件で迷ったら環境別の育て方もあわせてご覧ください。

よくある質問

65cmの標準プランターには、ミニトマトを何株植えられますか?

1株です。65cm標準型(幅65×奥行22×高さ20cm前後)に入る土は12〜15L程度(本記事の推計)で、サカタのタネ 園芸通信の連載がトマト・ナスに挙げる土の量は15〜20L。本記事はこれを1株あたりと読んでいます。1株でもぎりぎりの計算になります。2株植えると1株あたり6〜7.5Lとなり、真夏の水切れと肥料切れが一気に起きやすくなります。加えて、株同士が触れ合って風通しが落ち、徒長や病害虫の原因にもなります。どうしても2株育てたいなら、プランターを2つ用意してください。

プランターに容量の表示がありません。どう見積もればいいですか?

外寸の3辺をかけて、その半分を出発点にしてください。メーカー公表値で確認すると、実際の容量は外寸のかけ算の47〜66%に収まっています(本文の表2)。たとえば外寸60×23×18cmなら、かけ算で24.8L、その半分で約12Lという見当です。より正確に知りたい場合は、培養土の袋を開けて実際に入れてみて、何リットル使ったかを数えるのが確実です。一度測っておけば、その容器では以後ずっと使えます。

深いプランターに浅く土を入れて葉物を育ててもいいですか?

育てられますが、あまり得はしません。壁が高いぶん土の表面に風が当たらず、乾きが遅れます(サカタのタネ 園芸通信の連載も、ウォータースペースを大きく取りすぎると「表面部分が風に当たりにくく、土が乾きにくくなり、根張りが悪くなる」としています)。買った容積もそのまま無駄になります。すでに深型をお持ちなら、ミニ大根・ブロッコリー・キャベツなど深さを必要とする野菜に回すほうが活きます。葉物用には浅型を別に用意してください。

プランターは大きいほど水やりが楽になりますか?

果菜では楽になりますが、葉物では逆効果になることがあります。土の量が多いほど乾きにくく、水切れも肥料切れも起きにくくなるのは事実です。タキイ種苗も袋栽培について「畑などでの地植え栽培とは異なり、袋栽培では袋の容積が限られていますので、水やりの回数が多くなります。その結果、肥料分が流れ出して早く失われる…」としており、容器栽培に共通する話です。ただし株が小さい葉物では、その乾きにくさが根の張りを悪くする側に働きます。株の大きさと土の量が釣り合っているかどうかが判断の基準です。

プラスチックと素焼き(テラコッタ)では、選ぶサイズが変わりますか?

サイズの考え方は変わりませんが、水やりの頻度と重さが変わります。サカタのタネ 園芸通信の連載は素材ごとの特性として、素焼き・テラコッタ製は「多孔質で側面からの通気性に優れます。土が乾きやすく直射日光を遮断し土の温度変化が少ないですが、重たくて移動に適していません」、プラスチック製は「比較的軽量で移動に適しているが、厚みが薄いと夏場は直射日光で地温が上がりやすいです」としています。つまりベランダで動かす前提ならプラスチック、乾きにくさに悩んでいるなら素焼きという選び分けになります。素材の特性は複数の要素が絡むので、まず容量を決めてから素材を選ぶ順番にしてください。

参考・出典

病害虫の防除に農薬を使う場合は、その作物への登録がある薬剤を、ラベルに記載された希釈倍数・使用時期・使用回数の範囲で使ってください。 栽培環境(地域・天候・品種・容器の大きさ)によって症状の出方は変わります。判断に迷う場合は、お住まいの都道府県の病害虫防除所や普及指導センターにご相談ください。

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