症状から探す

野菜の葉に穴が開く原因|小さな穴の時点で、食害の9割はこれから

公開 2026.09.07菜園びより 編集部

葉の穴から犯人を探すのは、順番が逆です。ヨトウガなら、小さな穴が見え始めた時点で食べる量の大半はこれから起きます。

島根県の病害虫データベースによれば、ヨトウガの老齢幼虫は体長約40mmになり、その食害量は全幼虫期間の90%を越すとされています。そして「老齢になると日中は物陰に隠れ、主に、夜間に食害する。このため夜盗虫と呼ばれる。」——つまり穴に気づく頃には、犯人は昼間そこにいません。見るべきはその手前です。同資料は若齢期について「表皮が白く残っているため、本種の発生はすぐにわかる」としています。葉肉だけを食べて表皮を残すため、葉がかすれて見える段階があり、これはコナガ・ハスモンヨトウ・ヨトウガに共通して記録されています(見え方はコナガとヨトウガが白、ハスモンヨトウは褐変と、色は分かれます)。ただし大きな穴や葉脈だけになった段階では、その9割はすでに進行中です。この記事は、食べ跡の形から容疑者を絞り、種名を確定させずに次の一手を決めるための手順です。

結論|虫を探すのではなく、食べ跡の「形」で絞る

ポイント

「葉に穴」で調べると、ほとんどの記事が虫の名前ごとに並んでいます。しかし読者は虫の名前を知らないから調べています。索引の向きが逆です。ここでは食べ跡の形から入ります。

この記事を書くにあたって上位の記事を実際に開いて確認しました。ある大手の害虫コラムは「害虫」の語を100回以上使って虫を種類別に解説していますが、読者が最初に手にしている情報=「葉がこうなっている」から引ける作りにはなっていません。そして確認できた範囲では、いずれの記事にも出典が示されていませんでした。

食べ跡は、犯人の口の大きさと食べ方の記録です。葉肉だけをなめるように食べるのか、葉を貫いて穴にするのか、茎ごと切るのか。ここが分かれば、種名まで当てなくても対処は決まります。まず下の表で当たりをつけてください。

表1|食べ跡から容疑者を絞る早見表(※以下はいずれも畑・露地を対象にした県の資料にもとづきます。ベランダでの入り方は[7章](#planter))
葉や株の見え方考えられるもの確かめること
かすれる・薄く透ける(穴は開いていない/白〜褐色)コナガ/ヨトウガ・ハスモンヨトウの若齢葉裏に小さな幼虫か卵のかたまりがいるか(2章
小さな穴が点々とヨトウ類の中齢/アオムシ(成長後)同じ葉に糞が落ちていないか(3章
大きな穴・葉脈だけ残るアオムシ/ヨトウ類の老齢/オオタバコガ昼にいなければ夜か株元を見る(4章
丸くきれいな穴ウリハムシ(主にウリ科)橙黄色で体長7〜8mmの甲虫がいるか(3章
芯が止まった・新しい葉が出ないハイマダラノメイガ/ネキリムシ生長点の新葉がつづり合わされていないか(5章
苗が地際で切れて倒れたネキリムシ株元の土を浅く掘る(5章
白い線が絵を描いたように走るハモグリバエ類線の先端に小さな幼虫がいるか(6章
光沢のある這い跡がある(網目状に食われている場合も)ナメクジ・カタツムリ類鉢の底や受け皿の裏(6章
実に穴が開いているオオタバコガ・タバコガ/ナメクジ類穴の位置と、周囲に糞があるか(6章

穴が開く前に「表皮を残したかすり」が出る|3種の資料が一致している

ポイント

食害性の幼虫は、小さいうちは葉を貫通させられません。葉肉だけを食べ、表皮を残します。その結果、葉がかすれて見えます。色は種類で違い、白く見えることも褐色になることもあります。共通しているのは色ではなく、表皮が残っていることです。ここが最も見つけやすく、そして見逃されやすい段階です。

同じ現象を、別々の県の資料が別々の虫について書いています。茨城県病害虫防除所のコナガの資料は、幼虫が葉の裏から葉肉だけを食害するため「うすく表皮を残した不規則で小さな白斑状の食害痕が生じる」とし、多発生すると「葉脈のみを残して食害する」としています。同防除所のハスモンヨトウの資料は、ふ化幼虫が集団で葉裏から表皮を残すように食べるため「葉はかすり状に褐変する」と書いています。

そして島根県のヨトウガの資料が、この段階の価値をはっきり言葉にしています。若齢期(体長10mm以下)の食害は1〜2枚の葉に集中するとしたうえで、「表皮が白く残っているため、本種の発生はすぐにわかる」。「すぐにわかる」と一次情報が書いている段階を、私たちは毎年見逃しています。理由は単純で、かすれた変色は遠目には汚れや日焼けに見えるからです。

表2|若い幼虫の食害の出方(各資料の記述)
資料の記述出典
コナガうすく表皮を残した不規則で小さな白斑状の食害痕茨城県病害虫防除所
ハスモンヨトウ(ふ化幼虫)集団で葉裏から表皮を残すように食べ、葉はかすり状に褐変茨城県病害虫防除所
ヨトウガ(ふ化〜若齢)葉裏から表皮を残して食害。表皮が白く残る島根県 病害虫データベース
モンシロチョウ(ふ化幼虫)葉肉を浅く食害する(成長すると穴をあけるようになる)※同資料に「表皮」の記載はありません島根県 病害虫データベース

コナガ・ハスモンヨトウ・ヨトウガの3種が、そろって「表皮を残す」と書いている——この一致は、そのまま行動に直結します。そろっているのは「表皮を残す」であって色ではありません(コナガは白斑状、ヨトウガは表皮が白く残る、ハスモンヨトウは「かすり状に褐変する」。モンシロチョウは「葉肉を浅く食害」とのみで表皮の記載はありません)。かすれた変色を見つけたら、その葉の裏を見る。ヨトウガは卵を数十から数百粒まとめて葉裏に産みつけるため、若齢のうちは1〜2枚の葉に固まっています。その葉を1枚取れば終わることがあります。

穴の大きさは「犯人の齢」を表す=どれだけ手遅れかが分かる

ポイント

穴が大きいほど犯人は齢が進んでいます。1日あたりに食べる量は増える一方、こちらの打ち手は効きにくくなります。そして残っている食害量が多いのは、まだ穴が小さい段階です。穴で気づいた時点でも大半はこれからですが、かすりの段階ならもっと手前にいます。穴のサイズは、どれだけ手遅れかの目盛りです。

島根県のヨトウガの資料は、成長の段階をこう分けています。若齢は表皮を残す。「中齢期になると食害量も増し、葉に穴が点々と見られるようになる。」そして老齢幼虫は体長約40mmになり、食害量は全幼虫期間の90%を越すとされ、一夜にして作物が全滅することもあるとしています。

この90%という数字が、この記事の出発点です。穴が点々と見え始めた時点で、その幼虫が生涯に食べる量のほとんどはまだ残っています。さらに悪いことに、齢が進むほど薬剤が効きにくくなります。茨城県のコナガの資料は「幼虫の齢期が進むにしたがって薬剤に対する感受性が低下する」ため発生初期の防除が重要だとし、ハスモンヨトウの資料は「若齢幼虫によるかすり状の被害葉の発生を認めたら早期に防除を行う。」と書いています。手を打つ効果は、時間とともに落ちていきます。

表3|穴の見え方と、その時点で残っている打ち手(※齢期の記述は島根県ヨトウガ資料および茨城県ハスモンヨトウ資料。効きやすさの評価は当サイトの判断です)
見え方犯人の段階打ち手の効きやすさ
表皮が残ったかすり(穴なし)ふ化〜若齢。1〜2葉に集中最も高い。その葉を取るだけで終わることがある
小さな穴が点々中齢。分散が始まるまだ高い。捕殺が現実的
大きな穴・葉脈だけ老齢。ヨトウ類なら夜行性で昼はいない薬剤は効きにくい。ただし食害量が最大になるのはこの先で、夜の捕殺の価値がいちばん高い

なお、穴がきれいな円形になっている場合は、幼虫ではなく甲虫の可能性があります。島根県のウリハムシの資料は、成虫が葉に円形の食害痕を残すとしており、成虫は体長7〜8mm、背面が橙黄色で腹面が黒色の甲虫と記載されています。同資料が挙げる作物はメロン・キュウリ・カボチャ・スイカ・シロウリとソラマメで、成虫はウリ類だけでなく春先にソラマメなども加害するとされています。アブラナ科の葉物は挙がっていません(載っていない=絶対に来ない、ではありません)。除外の理由はこの寄主範囲です(時期では外せません。同資料は被害が多いのは5月下旬〜6月としつつ、産卵は長いもので9月まで続き、成虫は10月中旬頃から越冬場所に移動するとしています。秋の主役ではありませんが、いないわけでもありません)。

穴を見つけて、その場に虫がいないので「もういなくなった」と判断する

穴が大きいほど犯人は老齢に近い。ヨトウ類なら日中は物陰にいます(アオムシは昼も葉にいるので、まず葉の表と裏を見る)。いないのではなく、昼は隠れていると考えて夜か株元を探す

かすれた変色を日焼けや汚れだと思って様子を見る

光にかざして薄く透けるなら食害の可能性が高い(当サイトの目安)。その葉の裏を見る。卵のかたまりや小さな幼虫が固まっていることがある

昼に探しても見つからないことがある|「夜盗虫」という名前がそのまま答え

ポイント

食害はあるのに虫がいない、という状況には理由があります。大きくなったヨトウ類の幼虫は、昼間そこにいません。探す時間と場所を変えるだけで見つかります。ただしアオムシは昼も葉にいます——島根県のモンシロチョウの資料は、食害部のまわりに幼虫や蛹がみられるとしています。まず葉を見てから、いなければ時間と場所を変えてください。

島根県のヨトウガの資料は、老齢幼虫について「老齢になると日中は物陰に隠れ、主に、夜間に食害する。このため夜盗虫と呼ばれる。」としています。名前そのものが行動の説明になっています。同じくネキリムシの資料も、4齢以降の幼虫はほとんど土の中にいると記載しています。ナメクジ・カタツムリ類についても、多湿なところを好み、昼間は株元などに潜んでいて夜間に出て活動し食害する、とされています。

つまり「葉は食べられているのに虫がいない」は、矛盾ではなく典型例です。昼に葉の表だけを見て見つからないのは当然で、探す場所が違います。

表4|見つからないときに、いつ・どこを見るか
探す場所いつ見つかりうるもの
葉の裏いつでも卵のかたまり、若齢の幼虫、コナガ
株元や鉢の陰などの物陰ヨトウ類の老齢(資料の表現は「物陰に隠れ」)
株元の土を浅く掘るネキリムシ(4齢以降はほとんど土の中)
鉢の底・受け皿の裏・鉢と壁の隙間ナメクジ・カタツムリ類(多湿な場所に潜む)
株全体を明かりで照らす夜間に出てきて食べている個体

糞は、犯人が今もいる証拠になります。葉の上や株元に黒い粒が落ちていれば、その株で何かが食べています。糞が新しいほど近くにいます。逆に、食べ跡はあるのに糞がまったく無く、しばらく被害が増えていないなら、すでに蛹になったか移動した可能性があります。

葉ではなく「芯」と「株元」がやられる|秋にとくに多い2つ

ポイント

葉の穴より深刻なのが、生長点と地際です。ここをやられると株ごと終わります。しかも9〜10月に多いと記録されており、秋まきの時期と正面から重なります。

ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイムシとも呼ばれます)は、ダイコン・ハクサイ・キャベツなどのアブラナ科を加害します。茨城県の資料によれば、成虫は葉柄の付け根付近に1粒ずつ産卵し、ふ化した幼虫は幼植物の芯部に寄生して「生長点付近の新葉をつづり合わせて食害する」。防除のポイントには「幼苗期に加害されると芯止まりになる」ため早期発見・早期防除に努めること、苗床は被覆資材で覆って成虫の侵入を防ぐことが挙げられています。発生が多くなるのは9〜10月で、幼虫による大きな被害は幼植物時だけとされています。

ネキリムシ(島根県ではカブラヤガが多いとされています)は、島根県の資料によれば「特徴的な被害は苗の地際部の切断である。」。そして「生育が進んで硬くなった葉や茎は好まない。」ため、問題になるのは発芽後および定植後間もない幼苗期です。体長が10mmを越えると生長点の心葉を食べたり地際の柔らかい茎を切断したりするとされ、老熟幼虫は体長約40mm。被害が多いのは4〜6月と9〜10月と記載されています。

ただし、この2つは終わり方が違います。ハイマダラノメイガは茨城県の資料が「幼虫による大きな被害は幼植物時だけ」と明記しており、苗が育てば収まります。一方ネキリムシは違います。島根県の資料は幼苗期が問題だとしたうえで、続けて「しかし茎がいつまでも柔らかいレタスのような葉菜類はその生育期間をとおして加害される。」と書いています。原典が名指ししているのはレタスのような、茎が柔らかいまま育つ葉菜類です。コマツナやホウレンソウも同じ側とみて警戒する、というのが当サイトの判断です(同資料の被害の多い作物にホウレンソウは挙がっていますが、コマツナは挙がっていません)。大きくなったから安心、とはなりません。秋まきの締め切りと作業の順番は秋植え野菜のプランター栽培にまとめています。

白い線・光る筋・実の穴|葉の穴以外の食べ跡

ポイント

穴以外の食べ跡にも、はっきりした型があります。線・粘液の跡・実の穴の3つは、それぞれ別の相手を指しています。

葉に白い線が絵を描いたように走るなら、ハモグリバエ類です。島根県のトマトハモグリバエの資料は、卵が葉肉中に産卵され、孵化した幼虫が食害しつつ成長するとしたうえで、「幼虫の食害痕は葉に不規則な線状となって現れ」と記載しています。幼虫は葉の内部にいます。そのぶん外から薬をかけても届きにくいことがある——これは当サイトの補足です(同資料は防除対策の筆頭に「薬剤防除する」を挙げています)。確実なのは、持ち込まないことです。同資料の防除対策には「苗の段階で絵描き状の食害痕に注意し、本種が寄生した苗を購入しない。」という項目があります。買う前に見れば持ち込まずに済むということです。

光沢のある筋があるならナメクジ・カタツムリ類です。島根県の資料は「ナメクジ類が発生していると光沢のある歩いた跡があるのですぐわかる。」とし、被害の出方については「被害は葉でははじめ孔があき、のち葉脈だけが残って網目状になる。」としています。虫本体を見なくても、残った跡だけで見当がつきます。

実に穴が開いている場合は少し注意が要ります。同じ島根県のナメクジの資料には、「ピーマンでは果実に孔をあけて入り込むことがあり、タバコガの加害と間違えられることもある。」とあります(ここで挙がっているのはタバコガで、次に述べるオオタバコガとは別種です)。専門機関の資料が「間違えられる」と書いている組み合わせなので、実の穴だけで断定はできません。なお島根県のオオタバコガの資料は、冒頭で「本種の加害植物は近縁種のタバコガとの混同も考えられ明確ではないが」と断ったうえで、トマトでは花蕾の食害、花梗や茎内への食入によるしおれ・切断、果実への食入被害が発生するとし、加害植物はナス科・マメ科・アブラナ科・イネ科など広範囲に及ぶとしています。

表5|葉の穴以外の食べ跡
見え方考えられるもの決め手になる特徴
不規則な白い線ハモグリバエ類幼虫が葉の内部にいる。苗の時点で持ち込まれることがある
光沢のある這い跡/網目状の食害ナメクジ・カタツムリ類跡そのものが証拠。昼は株元や鉢の陰に潜む
実に穴・茎に食入オオタバコガ・タバコガ(ナメクジ類のことも)資料自身が「間違えられる」としている。穴だけで決めない

プランターとベランダでは、容疑者の入り方が変わる

ポイント

ここまでの資料はすべて畑(露地)や施設で栽培する産地向けのものです。ベランダにそのまま当てはめる前に、入ってくる経路の違いを押さえておく必要があります。

まず前提を正直に書きます。この記事が引いた県の資料は、ベランダのプランターを対象にしていません。食べ跡と虫の対応、齢期による行動の変化、発生の多い時期——これらは畑での観察にもとづく記述です。虫の生態そのものは容器の上でも変わりませんが、発生の量や時期は、周りに何が植わっているかで大きく変わります。マンションの4階と、畑に隣接した1階では同じになりません。また、ここで挙げた発生時期はいずれも茨城県・島根県での観測です。茨城県の資料自身が「病害虫の発生状況や、適切な防除方法は地域により異なる可能性があります」と注記しています。

そのうえで、資料から確実に言えることが1つあります。「新しい培養土を使えば虫は来ない」とは言えません。島根県のネキリムシの資料によれば、成虫は雑草や栽培植物の地際の古い葉とか枯葉に1〜2個ずつ産卵します。つまり卵の入口は土袋の中ではなく、飛んでくる成虫です。ハイマダラノメイガも成虫が葉柄の付け根付近に産卵し、ヨトウガは葉裏に卵塊を産みます。新しい培養土を使う場合、主要な入口は「飛んでくる成虫」のほうです。

これは対策の順番を変えます。土を新しくしても、飛んでくる成虫の産卵は防げません。効くのは、産卵そのものを止めることです。防虫ネットで防げる虫と防げない虫の線引きはベランダ菜園の虫対策で扱っています。ネットは「かけたかどうか」ではなく「いつ・どうかけたか」で結果が変わります。

去年虫が出たので、今年は土を全部新しくして安心する

産卵は飛来した成虫が株元や葉裏に行う。土を新しくするだけでは足りず、苗を植えた直後からのネットで産卵を止める

苗を買うとき、葉の表だけ見て選ぶ

葉裏と、絵描き状の線を見る。島根県の資料も、寄生した苗を購入しないことを防除対策に挙げている

見つけた日にやること|4ステップ

ポイント

犯人がグループまで絞れたら、やることは共通です。順番を守ると、薬を使わずに終わることがあります。

  1. 1葉裏を全部見る。とくにかすりが出ている葉と、その周りの葉。卵のかたまりや、固まっている小さな幼虫を探す
  2. 2見つけた葉ごと取る。若齢は1〜2枚に集中しているため、この1手で終わることがある。取った葉はその場に落とさず袋へ
  3. 3株元の物陰と、土の中を見る。ヨトウ類の老齢は日中「物陰に隠れ」、ネキリムシは4齢以降ほとんど土の中にいます。鉢の底と受け皿の裏も見る
  4. 43日後にもう一度見る。新しい穴と新しい糞が増えていなければ、いなくなっています。増えていれば見落としがあります

薬剤を使う場合の判断は、「その虫に効くか」ではなく「その野菜に登録があるか」です。ラベルの適用作物と使用回数、収穫前日数の見方は農薬の希釈倍率と作り方にまとめています。なお、齢が進むほど薬剤が効きにくくなることは茨城県のコナガ・ハスモンヨトウ両方の資料が指摘しているため、大きな穴の段階で薬に切り替えても期待したほど効かないことがあります。

まとめ|見る順番だけ変える

ポイント

覚えることは虫の名前ではありません。チョウ・ガの幼虫なら、穴の前に「表皮を残したかすり」の段階がある——この一点です。線・光る筋・実の穴は別系統なので、表1に戻ってください。

  • 穴で気づくのは遅い。ヨトウガの食害量は9割超が老齢期とされ、老齢は夜行性(島根県)
  • その手前に、表皮を残したかすりが出る。コナガ・ハスモンヨトウ・ヨトウガの3種が揃って記述している(色は白と褐変に分かれる)
  • 穴の大きさは、これから食べる量の予告。齢が進むほど薬も効きにくくなる(茨城県)
  • 昼にいないのは普通。株元の土、鉢の底、受け皿の裏、そして夜
  • 芯と地際は別扱い。ハイマダラノメイガとネキリムシは9〜10月に多い。ただし茎が柔らかいままの葉菜類(原典の例はレタス)では、ネキリムシは生育期間をとおして加害される(島根県)
  • 土を新しくするだけでは足りない。産卵するのは飛んでくる成虫。ただし前作で被害が出た土は、蛹や幼虫を持ち越すことがある

秋まきの葉物は、芽が出てからしばらくが最も危ない時期です。ただし前述のとおり、葉菜類のネキリムシだけは生育期間をとおして続きます。収穫まで、水やりのついでに葉を1枚めくる習慣をつけてください。一次情報が「すぐにわかる」と書いている合図を、見られる側に回るだけです。

よくある質問

葉に穴が開いていますが、虫がまったく見つかりません。もういなくなったのでしょうか?

まだいる可能性が高いです。島根県の資料によれば、ヨトウガは老齢になると日中は物陰に隠れ、主に夜間に食害します。ネキリムシも4齢以降はほとんど土の中にいます。株元や鉢の陰などの物陰を見る、株元の土を浅く掘る、夜に明かりで照らすの3つを試してください。判断材料になるのは糞です。新しい黒い粒が落ちていれば、まだその株にいます。

白くかすれているだけで穴は開いていません。放っておいても大丈夫ですか?

むしろそこが手を打つべき段階です。かすれた変色は、小さい幼虫が葉肉だけを食べて表皮を残した跡であることがあります(コナガ・ヨトウガは白っぽく、ハスモンヨトウは褐色になるとされています)。島根県のヨトウガの資料は、若齢期の食害は1〜2枚の葉に集中し、表皮が白く残るため発生がすぐわかるとしています。その葉の裏を見て、卵のかたまりや小さな幼虫がいれば葉ごと取る。この段階なら1〜2枚で終わることがあります。ただし、虫がいない白さ(うどんこ病やハダニ)もあるので、きゅうりの葉が白い原因の見分け方も確認してください。

ベランダの4階なのに虫が来ます。どこから来るのですか?

主な入口は飛んでくる成虫です。この記事が引いた県の資料では、ネキリムシの成虫は株元の古い葉や枯葉に産卵し、ハイマダラノメイガは葉柄の付け根付近に、ヨトウガは葉裏に卵塊を産みます。卵の入口は土袋ではなく、飛来した成虫です。そのため土を新しくするだけでは防げません。効くのは植えた直後からの防虫ネットです。ただし土を使い回す場合は別の話で、島根県の資料はヨトウガが「冬と夏は蛹で土中で休眠する」、ネキリムシが幼虫で越冬するとしています。前作で被害が出た土は、そのまま使うと持ち越すことがあります。土を再利用するなら、ふるいにかける段階で蛹や幼虫を拾ってください(土の戻し方は→古い土の再生方法。同記事が扱うのは病原菌やセンチュウで、虫の持ち越しは別の話です)。なお、これらの資料は畑での観察にもとづくもので、高層階での飛来の量については資料を確認できていません。

苗を買うときに気をつけることはありますか?

葉の裏と、白い線の有無を見てください。島根県のトマトハモグリバエの資料は、防除対策として「苗の段階で絵描き状の食害痕に注意し、本種が寄生した苗を購入しない。」を挙げています。ハモグリバエの幼虫は葉の内部にいるため、持ち込んでしまうと外から薬をかけても届きにくくなります。葉裏に卵のかたまりが付いていないかもあわせて確認してください。

秋にとくに注意する虫はどれですか?

芯と地際をやられる2つです。茨城県の資料によれば、ハイマダラノメイガは9〜10月に発生が多くなり、幼苗期に加害されると芯止まりになります。島根県の資料では、ネキリムシの被害が多いのは4〜6月と9〜10月です。なお同資料は、レタスのように茎が柔らかい葉菜類は「その生育期間をとおして加害される」としています。葉物では、苗が育っても終わりません。加えてヨトウガ(島根県)の幼虫の発生時期は9月下旬〜11月上旬、コナガ(茨城県)は9月頃から再び増加するとされています。いずれも秋まきの発芽直後と重なります。芽が出てからの数週間はとくに重点的に、葉物ではその後も収穫まで見てください。

参考・出典

病害虫の防除に農薬を使う場合は、その作物への登録がある薬剤を、ラベルに記載された希釈倍数・使用時期・使用回数の範囲で使ってください。 栽培環境(地域・天候・品種・容器の大きさ)によって症状の出方は変わります。判断に迷う場合は、お住まいの都道府県の病害虫防除所や普及指導センターにご相談ください。

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