環境別の育て方

日当たりが悪いベランダの野菜選び|時間ではなく「光の強さ」で決める

公開 2026.08.19菜園びより 編集部

日当たりが悪いベランダの野菜選びは、日照時間ではなくその野菜が必要とする光の強さで決まります。

タキイ種苗『園芸新知識』に載る蔬菜の光飽和点は、トマト70klx・スイカ80klxに対して、ミツバ・ミョウガ・フキは20klxでした。必要な光の強さが3〜4倍違うので、同じ「3時間」の日当たりでも育つものと育たないものが分かれます。そして日陰向きの野菜は最大光合成速度そのものが低く(ミョウガ2.3に対しトマト31.7)、「育つけれど、たくさんは採れない」という代償があります。この記事では、①光の強さで野菜を3つに分ける ②ベランダが暗い本当の理由 ③自分のベランダを0円で測る手順、の順にまとめます。

結論|「何時間か」より先に、必要な光の強さで3つに分ける

ポイント

「日当たり◯時間ならこの野菜」という表は、光の強さを無視しているので当たりません。先に、野菜を必要な光の強さで3グループに分けてください。

「日当たりが悪いベランダで何を育てるか」を調べると、たいてい陽性植物は6時間以上・半陰性は3〜4時間・陰性は1〜2時間という3分類に行き当たります。ただこの分類、出典が示されているものがほとんどなく、品目の割り当てもサイトごとに食い違います。同じ野菜が、あるページでは「1〜2時間でよい」、別のページでは「3〜4時間必要」と書かれている状態です。

判断の土台にするなら、光の強さ(照度)の実測値のほうが確かです。タキイ種苗の『園芸新知識』2004年2月号に、京都府立大学の藤目幸擴氏がまとめた「蔬菜の光飽和点・光補償点」の表が載っています。光補償点は光合成でつくる量と呼吸で使う量がつり合う光の強さ(=これを下回ると株は消耗していく下限)、光飽和点はそれ以上明るくしても光合成が増えなくなる光の強さ(=実力を出しきる上限)です。

表1|蔬菜の光飽和点・光補償点(タキイ種苗『園芸新知識』2004年2月号/巽・堀1969を修正)
野菜光飽和点 klx光補償点 klx最大光合成速度 mgCO₂/dm²/h
スイカ804.021.0
サトイモ804.016.0
トマト703.031.7(16〜17)
キュウリ55—24.0
カボチャ451.517.0
セルリー452.013.0
ナス402.017.0
キャベツ402.011.3
ハクサイ401.5〜2.011.0
エンドウ402.012.8
トウガラシ301.515.8
インゲン251.512.0
レタス251.5〜2.05.7
ミツバ201.08.3
ミョウガ201.52.3
フキ202.02.2

この表を、必要な光の強さで3つに分けると次のようになります。あなたのベランダで狙えるのがどのグループかを先に決めてしまえば、野菜の名前で迷う必要がなくなります。

表2|光飽和点で分けた3グループと、ベランダでの現実的な扱い
グループ光飽和点含まれる野菜(表1より)ベランダでの扱い
A 強い光が要る55〜80klxスイカ、サトイモ、トマト、キュウリ直射が5時間以上ないと厳しい。日当たりが悪いベランダでは第一候補にしない
B 中くらい30〜45klxカボチャ、セルリー、ナス、キャベツ、ハクサイ、エンドウ、トウガラシ「葉物だから日陰OK」が崩れるのがここ。キャベツ・ハクサイはナスと同じ40klx
C 弱い光で足りる20〜25klxインゲン、レタス、ミツバ、ミョウガ、フキ日当たりが悪いベランダの主戦場。ただし2章の代償を理解してから選ぶ

ここで注目してほしいのがBグループです。「日当たりが悪いなら葉物にしましょう」という助言はよく見かけますが、キャベツとハクサイの光飽和点は40klxで、ナスと同じです。葉物かどうかではなく、結球させる(中身を太らせる)かどうかが効いています。同じ理屈で、レタスも25klxと低いのは、資料の注記にあるとおり低温期に栽培される葉物としての値です。「葉物=日陰で育つ」は、少なくともこの表の上では成立していません。

「日陰でも育つ」の正体|弱い光で足りる野菜は、そもそも量が採れない

ポイント

光飽和点が低い野菜は、最大光合成速度も低いです。ミョウガはトマトの約14分の1。「少ない光で足りる」は「少ししかつくれない」と表裏一体です。

表1の右端の列を、もう一度見てください。ここが競合記事でまず語られない部分です。最大光合成速度は、その野菜が全力で光合成したときにどれだけ二酸化炭素を固定できるかを示します。単位は mgCO₂/dm²/h です。

表3|最大光合成速度の差(表1から抜粋)
野菜最大光合成速度トマトを1としたときの比
トマト31.71.00
キュウリ24.00.76
スイカ21.00.66
ナス17.00.54
キャベツ11.30.36
ミツバ8.30.26
レタス5.70.18
ミョウガ2.30.07
フキ2.20.07

ミョウガとフキは、トマトの7%程度しかありません。これは弱った株の話ではなく、全力で光合成したときの最大値です。つまり日陰向きの野菜というのは、「暗くても平気な強い野菜」ではなく、もともと小さくゆっくりつくる設計の野菜だということです。だからこそ弱い光で頭打ちになり、暗い場所でも成立します。

この理解があると、期待の置き方が変わります。「日陰でも育つ野菜12選」といったリストは間違ってはいませんが、育つ=日当たりのよい場所と同じように収穫できる、ではありません。日当たりが悪いベランダで満足度が高いのは、①少量でも料理の役に立つ薬味・香味野菜、②大きく太らせる必要がない葉物、③何回もかき採って使うタイプ、です。逆にいちばん失望しやすいのが「小さくてもいいからトマトを」という選び方です。

❌「日陰でも育つ」と書いてあったから、ミニトマトを半日陰に置いた。株は伸びたが実がほとんどつかない

⭕トマトの光飽和点は70klxで、表1で最上位グループ。日当たりが悪いベランダでは第一候補にしない。どうしても実ものが欲しいなら、光飽和点30klxのトウガラシ類(シシトウ・トウガラシ)のほうが現実的

❌「葉物なら大丈夫」でキャベツやハクサイを植えた。いつまでも結球しない

⭕キャベツ・ハクサイは40klxでナスと同じ。結球させる野菜は光を要求する。結球しないタイプ(レタスならリーフ系、ハクサイなら葉を使うツケナ類)に変える

❌日陰なのに、日なた向けの株数・容器で植えた。細く徒長して倒れる

⭕光が足りないぶん、株を減らして1株あたりの受光量を増やす。株間を広げるのは、日当たりが悪い場所ほど効きます

❌育ちが悪いので肥料を足した。もっと軟弱になった

⭕日照不足に肥料は効きません。香川県の技術対策資料も、寡日照の条件では軟弱徒長傾向になると指摘しています。足すのではなく、光を増やすか野菜を変えるかの二択です(6章)

ベランダが暗い理由は「方角」ではなく、上の階の床

ポイント

南向きなのに夏は日が入らない——これはベランダでは普通に起きます。原因は太陽高度が高すぎて、上階のベランダの床が庇になるからです。

「日当たりが悪い=北向きだから」と思われがちですが、集合住宅のベランダにはもうひとつ大きな要因があります。自分の真上にある、上の階のベランダの床です。これが庇として働くため、太陽が高いほど、床に直射が届く範囲は狭くなります。

太陽の南中高度は、国立天文台の公式によれば「90 −(その場所の北緯)+(太陽の視赤緯)」で求まり、夏至は視赤緯 +23.4度、冬至は −23.4度です。東京(北緯およそ35.7度)で計算すると次のようになります。

表4|東京での南中高度と、ベランダの床に直射が届く奥行き(本記事の計算。上階の床の先端までの高さを2.4mと仮定)
時期南中高度床に直射が届く奥行き奥行き1.2mのベランダでは
夏至(6月下旬)77.7度約0.53m手すり側の半分弱だけ。奥は正午前後ずっと影
春分・秋分(3月・9月下旬)54.3度約1.72m全面に届く
冬至(12月下旬)30.9度約4.01m全面に届き、部屋の中まで入る

この表からわかる、いちばん実用的な結論はこれです。夏に「うちのベランダは日当たりが悪い」と判定するのは早すぎます。夏至前後は南向きのベランダでもっとも直射が入りにくく、秋が深まるにつれて太陽高度が下がり、奥まで日が届くようになります。春夏に果菜で失敗した人が、秋冬の葉物であっさり成功する背景には、この効果もあります。植える時期そのものを動かす選択肢については、秋植え野菜のプランター栽培にまとめています。

逆の注意もあります。緯度が低い(南に行くほど)夏の南中高度は高くなるため、同じ間取りでも西日本・南西諸島のほうが夏のベランダは暗くなります。那覇(北緯およそ26.2度)の夏至の南中高度は87.2度で、ほぼ真上です。お住まいの緯度で計算し直してみてください。

自分のベランダの日照を0円で測る3ステップ

ポイント

野菜を選ぶ前に、プランターを置く高さ・位置で日照を測ってください。ベランダは1mずれるだけで条件が変わります。

そもそも「日が当たっている」とは何か。気象庁は日照時間を「直射日光が地表を照射した時間」とし、「現在、日照は、『直達日射量が0.12kW/㎡以上』として定義しています」としています。家庭で日射量は測れませんが、この閾値はおおむねはっきりした影ができるかどうかの境目にあたります。ですから、次の手順で十分に判定できます。

  1. 1よく晴れた日を選ぶ。曇りの日に測ると、散乱光だけで影ができず、実力より低く出ます
  2. 2プランターを置く予定の場所・高さにスマホを置き、9時から16時まで1時間おきに写真を撮る。タイマー撮影やタイムラプスでも構いません。ここで大事なのは床の上ではなく、株の葉がくる高さで見ることです。台に載せるかどうかで結果が変わります
  3. 3写真を並べて、はっきりした影ができている時間を数える。その合計が、あなたのベランダの実質的な日照時間です
  4. 43か月後にもう一度測る。3章のとおり太陽高度は季節で30度以上動くので、夏の測定値は冬には通用しません。面倒なら、夏至前後と秋分前後の2回で十分です

測る前に、手すりの種類も確認しておいてください。格子状の手すりなら足元にも光が入りますが、コンクリートやパネルの腰壁だと、床から高さ1.1m前後までは終日影になります。この場合はプランタースタンドや棚で株の位置を上げるだけで条件が変わります。容器の大きさや置き方については道具・資材の選び方も参考にしてください。

実測した日照時間別・何を植えるか

ポイント

4章で出した実測の時間と、1章のグループを突き合わせます。表1にない野菜については、種苗メーカーの栽培資料の記述で判断してください。

ここで注意したいことがあります。まとめ記事ではコマツナやシソが「1〜2時間の日照でよい陰性野菜」として紹介されがちですが、種苗メーカーの栽培資料はそう書いていません。サカタのタネの栽培レッスンでは、コマツナの日当たり条件は「日なた」です。シソは「日当たり~半日陰」としつつ、本文は「日当たりがよく、風通しのよい場所を好みますが」と始まり、半日陰が登場するのは「乾燥には弱く、夏の暑さと乾燥にあうと葉が固くなってしまうので、真夏は日よけをして半日陰にすると柔らかい葉を収穫できます」という文脈です。つまりシソの半日陰は「年間を通じて日陰でよい」ではなく「真夏だけ」の話です。

一方、同じサカタのタネの資料で、ミョウガは「直射日光を必要とせず、日当たりの悪い場所でも育てることができる」とされ、ミツバも「湿り気の多いところや日陰でもよく育ちます」と明記されています。表1で光飽和点20klxだった2種が、栽培資料でも日陰向きとされている。数値と栽培現場の記述が一致しているので、ここは安心して選べます。

ただしミョウガについては、同じ資料がよくある思い込みを名指しで否定しています。「育てるのに適している場所は、暗くて湿気のあるジメジメした場所といわれることが多いですが、実際は、完全な日陰よりは木陰などの日が少し入るような風通しのよい、明るい日陰が適しています」という記述です。日陰向き=暗ければ暗いほどよい、ではありません。直射は要らないが、明るさと風通しは要る。これは表1の光補償点(ミョウガ1.5klx)が0ではないことと符合します。

表5|実測の日照時間別・狙えるもの/避けたほうがよいもの
実測の日照狙えるもの避けたほうがよいもの考え方
5〜6時間以上表1のA・Bグループも視野に。トマト・ナス・キュウリなど特になし「日当たりが悪い」の範囲ではありません。多くの果菜が必要とする日照を満たしています
3〜5時間レタス(リーフ系)、インゲン、トウガラシ・シシトウ、結球させない葉物スイカ、サトイモ、トマト(70〜80klx)Cグループ中心+Bグループの一部。結球・肥大させるものは外す
1〜3時間ミツバ、ミョウガ、フキ(20klx)果菜全般、結球野菜表1のCグループのみ。収穫量は控えめと割り切る(2章)
直射なし(明るい日陰)ミョウガ、ミツバなど。ただし明るさが必要ほぼすべて光補償点(1.0〜2.0klx)を下回ると株は消耗するだけ。北向きでも空が広く見えるかどうかで大きく違います

「1〜3時間」の欄が、いわゆる半日陰にあたります。ただしこの言葉も定義が揺れています。サカタのタネの園芸用語集では、半日陰は「昼間の半分くらいの間日が当たるところ、または、木漏れ日くらいの日差しが当たるところをいいます」とされています。「昼間の半分」であって「3〜4時間」ではありません。夏なら昼間は14時間近くあるので、半分は7時間です。まとめ記事の「半日陰=3〜4時間」という言い換えは、この定義とは別物だと考えてください。だからこそ、言葉ではなく4章の実測が要ります。

なお、日当たり以外の条件で失敗しているケースもよくあります。準備段階でつまずきやすい4点(日当たり・容器の大きさ・株数・始める時期)は家庭菜園の失敗あるあるにまとめてあるので、日照を測ってもピンとこないときは、そちらで切り分けてみてください。

日照が足りないときに効くこと・効かないこと

ポイント

対策は「光を増やす」「受け取り方を変える」「野菜か時期を変える」の3種類しかありません。肥料と水は日照不足の解決策になりません。

表6|日照不足への打ち手と、期待できる度合い
打ち手分類期待度補足
プランターの位置・高さを変える光を増やす大3章のとおり、腰壁の上に出すだけで条件が変わる。まず最初にやること
鉢の向きを週1回変える受け取り方中片側だけに光が当たる環境では、株の偏りと徒長を減らせる
株数を減らす/株間を広げる受け取り方大光が少ない場所ほど、株どうしの奪い合いが効く。詰めて植えない
白い板・アルミシートで反射させる光を増やす小〜中直射の代わりにはなりません。反射光は元の光より弱く、面積も限られます
時期をずらす(秋冬の葉物にする)時期を変える大3章のとおり、秋冬は太陽高度が下がって奥まで日が入ります
野菜を変える野菜を変える大表5のとおり。もっとも確実で、もっとも軽視されている手
肥料を増やす—逆効果軟弱徒長を招く。日照不足を肥料で埋めることはできません
水を多くやる—逆効果日陰は乾きが遅く、過湿と根傷みにつながりやすい

「肥料を増やすと逆効果」は、感覚論ではありません。香川県が公表している「長雨・日照不足対策」の資料では、日照が足りない条件で軟弱徒長が起きることを前提に、露地野菜については「長雨寡日照により湿害が発生した場合や軟弱徒長傾向の露地野菜は……早めに防除する」、花き類については「寡日照の条件下では、全ての花き類は軟弱徒長傾向になる」と記されています。光が足りない状態で栄養だけ足すと、細く長く伸びて倒れやすくなる。これは家庭のプランターでも同じです。

同じ資料には、実がなる野菜についての具体的な指示もあります。施設栽培のトマト・ミニトマトについて、「寡日照が原因で葉が大型になり、果実の着色を阻害する場合がある。結実不良が続く場合は、果実付近の葉を半分程度に摘葉して、果実に光を十分あてる」という内容です。これはハウス栽培の農家向けの指導であって、ベランダのプランターに向けたものではありませんが、「日照が足りないときは、葉を減らして実に光を届ける」という考え方の裏づけにはなります。葉を減らす作業は株を弱らせる面もあるので、実がすでについていて色づかない、という段階に限って検討してください。

植物育成ライトは選択肢にはなりますが、この記事では効果の程度を数字で示せません。製品ごとに光量も配光もまったく違い、比較できる公的な試験データを確認できなかったためです。導入するなら「何klx(あるいは何μmol/m²/s)を、株の位置で、何時間」という条件で選ぶ必要がある、とだけ申し添えます。

それでも実のなる野菜を育てたいときの線引き

ポイント

「株が育つ」と「実がなる」は別の条件です。日照不足では、株は伸びても花芽がつかない・落ちるという形で先に出ます。

光補償点(表1)は生きていける下限であって、収穫できる水準ではありません。トマトの光補償点は3.0klx、光飽和点は70klx。資料はこの70klxを「真夏の太陽光ぐらいの強光」と説明しています。つまりトマトは、真夏の直射をまるごと使いきる設計の野菜です。3klxを少し上回る程度の環境では、枯れないだけで、実をつける余力は残りません。

実際、トマトで日照不足が現れるときは、花の段階で先に出ます。花が咲かない、あるいは咲いても落ちる。この切り分けはトマトの花が落ちる原因に詳しくまとめていますが、そもそも咲かない場合の原因のひとつが日照不足です。半日陰では株は育っても花芽がつきにくくなります。

そのうえで、日当たりが悪いベランダで実ものを狙うなら、順序はこうなります。

  1. 1まず4章で実測する。3時間を切っているなら、実ものはいったん諦めて表5の下2段に切り替えるのが最短です
  2. 23〜5時間あるなら、光飽和点の低い実ものから試す。表1ではトウガラシが30klx、インゲンが25klxで、トマト(70klx)より条件が軽い
  3. 3株数を減らし、いちばん明るい位置を1株に使わせる。日当たりが悪い場所で複数株を並べるのは、どちらも中途半端になります
  4. 4時期を前後にずらす。3章のとおり、真夏より春・秋のほうがベランダの奥まで日が入ります
  5. 5それでも実がつかないなら、環境ではなく野菜の選択が原因と判断して切り替える。表5に戻ってください

最後にもうひとつ。日当たりが悪いことは、悪いことばかりではありません。真夏の西日はコンクリートの照り返しと合わさって、株にも用土にも強い負担になります。夏の午後に日陰になるベランダは、葉物にとってはむしろ有利です。3章の庇の効果は、夏の高温対策としては味方になる、ということでもあります。

よくある質問

北向きのベランダでも野菜は育ちますか?▾

直射がまったくなくても、空が広く見える「明るい日陰」なら、ミョウガやミツバは選択肢になります。サカタのタネの資料でも、ミョウガは「直射日光を必要とせず、日当たりの悪い場所でも育てることができる」、ミツバは「湿り気の多いところや日陰でもよく育ちます」とされています。ただし暗ければよいわけではありません。同じ資料はミョウガについて「完全な日陰よりは木陰などの日が少し入るような風通しのよい、明るい日陰が適しています」としており、表1の光補償点(ミツバ1.0klx、ミョウガ1.5klx)も0ではありません。壁や隣の建物が迫っていて日中も薄暗い場所なら、野菜栽培自体を見直したほうがよい結果になります。

「日当たり3時間」ならミニトマトは無理ですか?▾

採れないとは言い切れませんが、おすすめはしません。表1のトマトは光飽和点70klx・光補償点3.0klxで、掲載16品目のうち上位のグループです。3時間の直射では株は育っても花芽がつきにくく、トマトの花が落ちる原因でも触れているとおり「そもそも咲かない」形で日照不足が出ます。実ものをどうしても試したいなら、表1で30klxのトウガラシ類(シシトウ・トウガラシ)や25klxのインゲンのほうが、同じ手間で結果が出やすくなります。

夏は日が入らないのに冬は入ります。なぜですか?▾

上の階のベランダの床が庇になっているためです。太陽の南中高度は東京で夏至77.7度・冬至30.9度と、季節で46度以上動きます。太陽が高い夏は真上から差すため庇に遮られ、低い冬は斜めから差し込んで奥まで届きます(3章の表4)。南向きのベランダほどこの差がはっきり出ます。したがって、夏の状態だけで「うちは日当たりが悪い」と決めるのは早計です。秋冬の葉物なら十分に育つ可能性があります。

小松菜は日陰でも育つと書いてあるサイトがありますが、本当ですか?▾

種苗メーカーの栽培資料では「日なた」とされています。サカタのタネの栽培レッスンで、コマツナの日当たり条件は「日なた」です。コマツナは生育適温15〜25℃で栽培期間が短く育てやすい野菜ですが、育てやすさと耐陰性は別の話です。なお表1(光飽和点の資料)にコマツナは含まれていないため、この記事では数値を出していません。日照が短いベランダで葉物を狙うなら、表5の区分に沿って選んでください。虫がつきやすいアブラナ科でもあるので、ベランダ菜園の虫対策もあわせてどうぞ。

反射板やアルミシートで日光を増やせますか?▾

多少は補えますが、直射の代わりにはなりません。反射光は元の光より必ず弱く、当たる面積も限られます。表6のとおり期待度は「小〜中」です。先にやるべきは、プランターの位置と高さを変えること(腰壁の上に出す、いちばん明るい位置に1株だけ置く)と、株数を減らすことです。この2つのほうが、コストゼロで効果が大きくなります。

参考・出典

病害虫の防除に農薬を使う場合は、その作物への登録がある薬剤を、ラベルに記載された希釈倍数・使用時期・使用回数の範囲で使ってください。 栽培環境(地域・天候・品種・容器の大きさ)によって症状の出方は変わります。判断に迷う場合は、お住まいの都道府県の病害虫防除所や普及指導センターにご相談ください。

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